-
スペアキーで回るなら原因は鍵にある
玄関の鍵が回らなくなった時、問題が「鍵」側にあるのか、それとも「鍵穴(シリンダー)」側にあるのかを切り分ける、非常に簡単で確実な方法があります。それは、「スペアキーで試してみる」ことです。もし、普段使っている鍵ではびくともしなかったのに、保管していたスペアキーを差し込んだら、あっさりとスムーズに回った。この場合、トラブルの原因は鍵穴ではなく、あなたが普段使っている「鍵そのもの」にあると断定できます。では、なぜ普段使っている鍵だけが回らなくなったのでしょうか。その原因は、主に「摩耗」と「変形」に集約されます。鍵は、毎日何度も硬い金属である鍵穴に抜き差しされ、力を加えられることで、ほんの少しずつですが、確実にすり減っていきます。特に、鍵の山や谷の部分が摩耗し、その高さや深さが変わってしまうと、鍵穴内部のピンを正しい位置まで押し上げることができなくなり、結果として回らなくなってしまうのです。見た目にはほとんど変化がなくても、ミクロン単位の精度で設計されている鍵穴の中では、そのわずかな差が致命的となります。また、鍵は意外と簡単に変形します。ズボンの後ろポケットに入れたまま座ってしまったり、重い荷物の下敷きになったり、あるいは、鍵を栓抜き代わりに使ったりすることで、人間の目には見えないレベルで、わずかに曲がったり、ねじれたりすることがあります。この微細な歪みもまた、鍵が回らない大きな原因となります。スペアキーで回ることが確認できた場合、摩耗や変形した元の鍵を使い続けるのは非常に危険です。無理に使い続けると、鍵穴の内部を傷つけ、最終的にはシリンダーごと交換しなければならない、より高額な修理につながる可能性があります。この場合は、すぐにでも、その正常に作動するスペアキー(できれば純正キーが望ましい)を持って、信頼できる鍵屋に行き、新しい合鍵を作成してもらうのが最も賢明な判断です。
-
鍵が回らない時の正しい初期対処法
玄関のドアの前で、いつものように鍵を差し込み、回そうとした瞬間。全く動かない、あるいは固くて回らない。この「鍵が回らない」というトラブルは、誰の身にも突然起こりうる、非常に厄介な問題です。焦る気持ちは分かりますが、こんな時こそ冷静な初期対応が、事態を悪化させずに解決するための鍵となります。まず、最初に確認すべきは、非常に単純なミスです。それは「違う鍵を差し込んでいないか」ということです。特に、自宅と実家、あるいは会社など、見た目が似ている鍵を複数持ち歩いている場合は、無意識に間違った鍵を選んでしまっている可能性があります。もう一度、キーホルダーをよく見て、正しい鍵であるかを確認しましょう。次に、鍵は正しいのに回らない場合、試してほしいのが「鍵の抜き差しと、小刻みな動き」です。鍵を数回、優しく抜き差ししてみてください。これだけで、内部のピンの僅かなズレが解消されることがあります。また、鍵を差し込んだ状態で、上下左右にほんの少しだけ動かしながら、ゆっくりと回す力を加えてみるのも有効です。長年の使用で、鍵とシリンダーの間にわずかな遊びが生じ、特定の位置でないと回りにくくなっている場合があるからです。さらに、ドア自体を少し押したり引いたりしながら、鍵を回してみるのも試す価値があります。建付けの歪みなどで、デッドボルト(かんぬき)がドア枠に強く圧迫されている(テンションがかかっている)と、鍵が回らなくなることがあります。ドアを動かすことで、この圧迫を一時的に緩めるのです。そして、ここで絶対にやってはいけないのが、潤滑油などを自己判断で鍵穴に注入すること、そして、無理やり力ずくで鍵を回そうとすることです。これらは、内部の機構を完全に破壊し、より高額な修理を招く原因となります。
-
分譲マンションの鍵交換と管理組合
分譲マンションの鍵を交換したい。そう考えた時、戸建て住宅と同じ感覚で、自分で勝手に鍵屋を手配して、交換してしまうのは、絶対に避けるべき行為です。分譲マンションという、多くの人が共同で暮らす建物には、そこならではのルールと手順が存在します。そして、その鍵となるのが「管理組合(または管理会社)」への、事前の連絡と相談です。なぜ、自分の所有物であるはずの部屋の鍵交換に、管理組合の許可が、必要なのでしょうか。その最大の理由は、あなたの部屋の鍵が、単にあなたの部屋だけのものではなく、マンション全体のセキュリティシステムの一部として、重要な役割を担っている可能性があるからです。例えば、エントランスのオートロックと連動している鍵の場合、市販のシリンダーで勝手に交換してしまうと、エントランスを開けることができなくなってしまいます。また、火災や水漏れといった緊急事態が発生した際に、消防隊員や管理会社のスタッフが、マスターキーを使って全ての部屋の安否確認や原因調査を行えるよう、統一されたキーシステムが採用されているマンションも少なくありません。あなたが勝手に違う種類の鍵に交換してしまうと、この緊急時の対応システムに、重大な支障をきたすことになります。これは、あなた個人の問題だけでなく、同じマンションに住む、全ての居住者の安全に関わる問題なのです。さらに、マンションの「管理規約」には、鍵の交換に関するルールが、明確に定められているのが一般的です。そのルールを無視すれば、後で規約違反を問われ、原状回復を求められるといった、余計なトラブルに発展しかねません。鍵の交換を思い立ったら、まず最初に行うべきは、管理組合の理事会、あるいは管理会社に電話をし、「鍵を交換したいのですが、どのような手続きが必要ですか」と、正直に相談すること。それが、分譲マンションの居住者として果たすべき責任であり、問題をスムーズに、そして円満に解決するための、唯一の正しい道筋なのです。