家の鍵や自転車の鍵のスペアが急に必要になった時、私たちは「合鍵」を作りに店へ向かいます。しかし、いざ作ろうとすると、その値段や作成にかかる時間が店や鍵の種類によって大きく異なることに驚かされることがあります。この違いは一体どこから来るのでしょうか。合鍵作成の料金と時間は、主に「元の鍵の種類」と「どこで作成するか」という二つの要素によって決まります。まず、最も手軽で安価なのが、昔ながらのギザギザした形状の鍵、いわゆる「ディスクシリンダー」や「ピンシリンダー」タイプの合鍵です。これらの鍵は構造が比較的シンプルなため、ホームセンターや駅前の小さな鍵屋さんで、専用の機械を使えば数分で複製が完了します。値段も五百円から千五百円程度と非常にリーズナブルです。しかし、近年主流となっている防犯性の高い「ディンプルキー」となると話は変わります。ディンプルキーは、鍵の表面に大きさや深さの異なる多数のくぼみがあり、その組み合わせは数億通りにもなります。この複雑な形状を正確に複製するには、高度な技術と精密な専用機械が必要となるため、どこでも作れるわけではありません。作成できるのは、専門的な設備を持つ鍵屋さんに限られ、時間も十分から三十分程度かかります。値段も一本三千円から六千円程度と、ギザギザの鍵に比べて高価になります。さらに、メーカーによる登録制度が設けられている特殊な鍵の場合、街の店舗では一切複製できず、鍵に刻印された番号と本人確認書類を元に、メーカーに直接注文しなければなりません。この場合は、手元に届くまで二週間から四週間程度の時間と、五千円以上の費用がかかることもあります。このように、合鍵作成の値段と時間は、その鍵が持つ防犯性の高さと、複製することの難しさに正比例しているのです。ただ安い、早いというだけで判断せず、自分の持っている鍵の種類を正しく理解することが、スムーズな合鍵作成の第一歩となります。