室内ドアに使われるドアノブ一体型の錠前には、一見するとよく似た「円筒錠」と「チューブラ錠」という二つの代表的な種類があります。どちらも室内の間仕切りドアで広く使われていますが、その構造や取り付け方法、そしてメンテナンス性には明確な違いがあります。この二つの違いを理解しておくことは、ご自宅のドアノブを交換したり、修理したりする際に非常に役立ちます。まず、円筒錠は、その名の通りドアに比較的大きな円筒形の穴を開けて設置します。錠前の本体である錠ケースとノブが一体化しており、ドアに差し込んで固定する構造です。外見上の最大の特徴は、ドアノブの付け根にある丸い座金(丸座)の部分に、取り付け用のネジが見えないことです。ネジは丸座の下に隠れており、全体的にすっきりとしたデザインに見えます。一方、チューブラ錠は、円筒錠よりもさらにシンプルな構造をしています。錠ケースは「チューブラー」という名の通り、細い角筒状のラッチケースのみで構成されています。ドアへの取り付けも、ラッチケースを差し込むための小さな横穴と、ドアノブの軸を通すための貫通穴だけで済み、円筒錠ほど大きな穴を開ける必要がありません。そして、見た目での最もわかりやすい違いが、ドアノブの固定方法です。チューブラ錠は、室内側と室外側のドアノブを長いネジで挟み込むようにして固定します。そのため、室内側のドアノブの丸座には、必ず二本の取り付けネジの頭が見えています。このネジが見えるか見えないかが、円筒錠とチューブラ錠を見分ける最も簡単なポイントと言えるでしょう。性能面では、どちらも室内でのプライバシー保護を目的とした簡易的な錠前であり、防犯性能に大きな差はありません。しかし、交換のしやすさという点では、構造がよりシンプルなチューブラ錠の方が若干、作業が容易であると言えます。ご自宅のドアノブがどちらのタイプなのかを一度確認してみてください。ドアの内側を見て、ノブの付け根にネジが見えればチューブラ錠、見えなければ円筒錠である可能性が高いです。この知識があるだけで、いざという時の対応がずっとスムーズになるはずです。
円筒錠とチューブラ錠の見た目と構造の違い