車の鍵をなくしたことに気づいた瞬間の、血の気が引くような感覚は、経験した人にしかわからない絶望感があります。特に、物理的に差し込むタイプの鍵の場合、家やスペアキーが遠ければ、その場で完全に立ち往生してしまいます。そんな絶体絶命の状況で、まず頭をよぎるのは「どうすればいいのか」そして「一体いくらかかるのか」という二つの不安でしょう。差し込むタイプの車の鍵を紛失した場合の対処法は、大きく分けて「ディーラーに依頼する」か「鍵の専門業者に依頼する」かの二択になります。そして、その値段はどちらを選ぶか、また鍵の種類によって大きく変わってきます。まず、ディーラーに依頼する場合です。最大のメリットは、メーカー純正の鍵が手に入るという安心感です。しかし、ディーラーは出張サービスを行っていないため、車をレッカーで店舗まで運ぶ必要があります。また、鍵の作成には、車検証と身分証を提示して「キーナンバー」と呼ばれる番号を照会し、メーカーから新しい鍵を取り寄せるため、数日から一週間程度の時間がかかるのが一般的です。費用は、レッカー代も合わせると三万円から、後述するイモビライザー搭載車の場合は十万円を超えることもあります。次に、鍵の専門業者に依頼する場合です。最大のメリットは、その場でスピーディーに対応してくれる点です。電話一本で現場まで駆けつけ、車の移動も不要。鍵穴の構造からその場で新しい鍵を作成してくれるため、数時間後には車を動かせるようになります。費用も、ディーラーに依頼するより安く済む傾向があります。イモビライザーが搭載されていない、単純な金属の鍵であれば、一万五千円から三万円程度が値段の相場です。ただし、業者選びは慎重に行う必要があります。料金体系が不明瞭な業者もいるため、電話の段階で総額の見積もりをしっかりと確認することが重要です。そして、最も値段を左右するのが「イモビライザー」の有無です。差し込むタイプの鍵でも、近年のモデルの多くにはこの盗難防止装置が搭載されています。この場合、単に鍵を作るだけではエンジンがかからないため、専門の知識と機材が必要となり、値段も跳ね上がります。
差し込む車の鍵をなくしたら値段はいくら