長年使っていなかったダイヤル式の金庫や、親から譲り受けたものの番号がわからない金庫。いざ開けようとしても、うんともすんとも言わない時、人は途方に暮れてしまいます。専門の業者に頼む前に、何か自分でできることはないのでしょうか。焦ってバールでこじ開けようとするのは論外ですが、落ち着いて試せるいくつかのチェック項目があります。まず、最も基本的なことですが、「正しい開け方の手順」を再確認してみましょう。ダイヤル式金庫は、ただ数字を合わせるだけでは開きません。「右に四回〇〇を合わせ、次に左に三回△△を合わせ…」といった、メーカーや機種ごとに定められた固有の手順が存在します。取扱説明書が残っていれば、それを熟読するのが一番です。もし説明書がなくても、メーカー名や型番がわかれば、インターネットで検索することで、同じ機種の開け方の解説動画などが見つかることもあります。次に、ダイヤル番号そのものが間違っている可能性です。記憶が曖昧だったり、メモが不正確だったりすることはよくあります。心当たりのある数字の組み合わせは、全て根気よく試してみる価値があります。自分や家族の誕生日、記念日、電話番号など、意味のある数字を試すのは基本中の基本です。また、ダイヤルを回す際の「合わせ方」も重要です。指定された数字の目盛りを、最後の回で「正確に」合わせる必要があります。少しでも通り過ぎてしまった場合は、面倒でも最初からやり直さなければなりません。この「通り過ぎたらリセット」というルールを知らずに、何度も失敗しているケースは意外と多いのです。長年使われていなかった金庫の場合、内部の機械が油切れやホコリで動きにくくなっていることも考えられます。ダイヤルをゆっくりと、丁寧に回してみることで、固着した部品が動くきっかけになるかもしれません。これらの基本的な確認作業を全て試しても、なお金庫が開かない場合。残念ながら、そこが素人ができる限界点です。それ以上の無理な操作は、金庫を完全に壊してしまうだけです。大切なのは、深追いせずにプロの判断を仰ぐこと。その見極めこそが、金庫と中身を守るための最も賢明な選択と言えるでしょう。
ダイヤル式金庫が開かない時にまず試すべきこと