「自分の車の鍵は、昔ながらの差し込むタイプだから、防犯性は低いんだろうな」「合鍵もホームセンターですぐに作れるだろう」そう思っている方は、少し注意が必要です。見た目はただの金属の鍵でも、そのプラスチックの持ち手部分に、強力な盗難防止システム「イモビライザー」のICチップが埋め込まれている可能性が非常に高いからです。イモビライザーとは、正規の鍵以外ではエンジンを始動させることができないようにする電子的な認証システムです。鍵に内蔵されたICチップが発信する固有のIDコードを、車両本体のコンピューターが読み取り、両者のコードが一致した場合にのみ、エンジンをかけることが許可されます。たとえ鍵の形状を寸分違わず複製し、ドアを開けて車内に乗り込むことができたとしても、この電子的な認証をクリアできなければ、セルモーターは回らず、車を盗み出すことはできません。日本では2000年代初頭から急速に普及し、現在ではほとんどの車種に標準装備されています。では、自分の車の差し込むタイプの鍵が、イモビライザーを搭載しているかどうかは、どうすれば見分けられるのでしょうか。いくつかのチェックポイントがあります。まず、メーターパネルを確認してください。エンジンを切った後、鍵の形や「SECURITY」という文字が描かれたインジケーターランプが点滅していれば、イモビライザーが作動している証拠です。また、鍵の持ち手部分(プラスチックのヘッド部分)が、不自然に分厚かったり、メーカーのロゴの近くに小さな印があったりする場合も、内部にICチップが内蔵されている可能性が高いです。年式も大きな目安になります。おおよそ2000年以降に製造された車であれば、ほぼ間違いなく搭載されていると考えて良いでしょう。このイモビライザーの存在を知らないと、鍵を紛失した際や合鍵を作る際に、大きな失敗を招きます。ただ形をコピーしただけの鍵ではエンジンがかからないため、費用が無駄になってしまうのです。差し込むタイプの鍵であっても、それは単なる金属の棒ではなく、電子的な身分証明書でもあると認識することが、現代の車と付き合う上で非常に重要です。