築三十年を超える私の実家。あちこちガタが来ているのは仕方ないのですが、先日、自室のドアノブがとうとう限界を迎えました。ノブを回してもラッチが動かず、ドアが閉まらないのです。調べてみると、どうやら「円筒錠」というタイプらしい。業者に頼むのも一つの手ですが、ふと「これくらいなら自分でできるかもしれない」というDIY魂に火がつき、自力での交換に挑戦してみることにしました。まずは古い円筒錠の取り外しからです。インターネットで調べると、室内側のノブの根元に小さな穴があり、そこを千枚通しのような細いもので押しながらノブを引くと外れる、とあります。早速試してみると、カチッという手応えとともに、あっけなくノブが外れました。これが第一関門突破です。次に丸い座金を外し、ドア側面のネジを二本緩めると、錠本体をごそっとドアから引き抜くことができました。次に、取り外した錠前を持ってホームセンターへ向かいました。ここで重要なのが、寸法です。ドアの端からノブの中心までの距離である「バックセット」と、「ドアの厚み」を事前に測っておいたのが功を奏しました。売り場には様々な円筒錠が並んでいましたが、この二つの寸法が合わなければ取り付けられないのです。幸いにも、同じ寸法の製品を見つけることができ、トイレ用ではない普通のボタン式のものを購入しました。さて、いよいよ取り付け作業です。取り外しの逆の手順で、新しい錠本体をドアに差し込み、側面のプレートをネジで固定。外側と内側のノブをはめ込み、丸い座金をねじ込んで固定します。最後に、内側のノブをカチッと音がするまで押し込めば完成です。全ての工程は、一時間もかからずに終わりました。ドアノブを回すと、以前のガタつきが嘘のようにスムーズにラッチが動きます。たったこれだけのことですが、自分の手で不具合を直したという達成感は格別でした。費用も部品代の三千円ほどで済み、業者に頼むよりもずっと安く上がりました。もちろん、全ての人が簡単にできるわけではないでしょう。しかし、正しい手順と寸法さえ間違えなければ、円筒錠の交換はDIY初心者が挑戦するのに丁度良い作業だと、私はこの経験を通して感じました。
古い円筒錠を自分で交換してみた体験談