「合鍵を作る」という行為には、実は大きく分けて二つのパターンがあり、一つはメーカーで作られたオリジナルの「マスターキー(純正キー)」からブランクキーを削って複製する場合、もう一つは既に複製された「合鍵(コピーキー)」からさらにブランクキーを削って複製する場合(孫鍵)ですが、この二つには精度の面で決定的な違いがあります。マスターキーからブランクキーを削って作る合鍵は、オリジナルの形状を忠実にトレースできるため、誤差が少なくスムーズに回る高品質な合鍵ができあがりますが、合鍵からさらに合鍵を作る場合、コピー機でコピーした書類をさらにコピーすると文字が滲んでいくのと同じように、わずかな誤差が積み重なって(増幅されて)しまい、できあがった「孫鍵」は精度が落ちてしまうリスクが高くなります。具体的には、1回目のコピーで0.05ミリずれたとすると、そこから作った孫鍵はさらに0.05ミリずれて合計0.1ミリの誤差が生じる可能性があり、鍵の世界ではこの0.1ミリのズレが「鍵が回らない」「引っかかる」「抜けない」といったトラブルに直結するのです。そのため、良心的な鍵屋さんは「合鍵からの合鍵作成」を断るか、「ノークレーム(保証なし)」での対応とすることが多く、客側もそのリスクを理解しておく必要があります。もし手元に合鍵しかない状態で、さらにスペアが必要になった場合は、ブランクキーを削って作るのではなく、鍵本体に刻印されている「鍵番号」を控えてメーカーに純正キーを発注するか、あるいは鍵穴(シリンダー)から分解して内筒の段差を読み取り、正確な数値に基づいてブランクキーをカットするという方法を取れば、新品同様の精度を持つ鍵を手に入れることができます。ブランクキーはあくまで「素材」であり、それをどのような元データに基づいて加工するかによって、完成品の品質は天と地ほどの差が生まれることを覚えておきましょう。